恋愛ノスタルジー
圭吾さんに向かってこんな風に感情をぶつける私は、きっと酔っている。

でも酔っていてよかった。

だって限界だもの。

もう、嫌。

この時既に私は、抱き締める圭吾さんに抵抗する気力さえなくなっていた。

大きく息を吸い込むと、圭吾さんの香りとギルティオムが身体全部に染み込んでいく。

情けなくて苦しくて胸が焦げそうで、もう耐えられない。

でも、分かっていることはひとつだ。

私には何もない。誇れるものも秀でたものも。

だから愛されなくても文句なんて言える立場じゃない。

なのに、なのに私は……!

「彩。聞いてくれ。もう俺は偽らない。これからは正直にお前に接する。だから俺を見てくれないか」

なんだか……よく聞こえないし、理解できない。

疲れてしまって、もう眠りたかった。
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