恋愛ノスタルジー
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翌朝、眼が覚めた私は昨夜の出来事を思い返した。

ううん、一晩中眠りが浅くて……夢の中でもずっと考えていた気がする。

『いないんだ。花怜なんてどこにもいない』

信じられなかった。

それに、

『俺は……俺は本気でお前が好きなんだ』

この言葉も。

圭吾さんが何を考えているのか分からない。

私を好きならどうして恋人がいるフリなんてしたの?

どうして『自由に恋愛すればいい』なんて言ったんだろう。

暫く微動だにせずに考えていたけれど、やっぱり理解できなかった。

……圭吾さんは……もう起きているんだろうか。

自室は隣同士だけれど物音は聞こえない。

……こんな状況なのにお腹が空く自分が本当に嫌になる。

昨日はあまりのショックに、美月と行った居酒屋では食べ物に手を付けなかった。

その後突然やって来た圭吾さんに衝撃的な告白をされ、更に取り乱してしまったし。

……何か作ろうかな。

ゆっくりとベッドから抜け出しリビングに向かうと、丁度アイランドキッチンの前に圭吾さんの姿があった。

「あ……や」

……物凄くぎこちない圭吾さんの声は、もはや私の名前を呼んだのかどうかも定かでなかった。

「おはようございます」

「……おはよう」

平静を装い、私は冷蔵庫からペリエを取り出しグラスに注いだ。

「……」

「……」

凄く視線を感じる。
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