恋愛ノスタルジー
……もう一回。もう一回だけ深呼吸をしたら、思いきって中に入ろう。

「何やってんの」

「きゃあっ!」

驚きのあまり小さく悲鳴をあげた私の目の前に、彼が立っていた。

そう、彼……Ryo.Sakakiが。

「あ……アンタあん時の……」

「み、峯岸彩です!せ、先日はあの、大変な失礼を働いてしまいまことに申し訳ございませんでしたっ」

勢いよく頭を下げてすぐ、彼の笑い声が聞こえた。

「風邪引かなかったか?」

低いけどどこかあどけない声。

……素敵。

ああ。やっぱり好きになってる、私。

「あ、平気です」

「そっか。良かった。じゃあな」

……良くない。全然良くない。このままじゃ嫌だ。

咄嗟に私は手を伸ばした。彼の腕に。

「ん?」

「榊凌央さん!あなたの三ヶ月間を私にください!」

この時の私は、今までの人生の中で一番必死だった。
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