恋愛ノスタルジー
*****

「うっそーっ!信じられない!!」

美月がスマホの向こうで叫んだ。

「本当なの。自分でもビックリするけど……」

「そんなに好きになっちゃったの?!」

私は榊さんの家に向かう土曜日、美月に事の経緯を詳しく話した。

「……分かんないけど多分。あ、でも好きって気持ちは隠し通すつもり。じゃなきゃフェアじゃないっていうか……。だって三ヶ月後には圭吾さんと結婚しなきゃならないでしょ?榊さんに迷惑はかけたくないの。だからあくまでも単なるアシスタントとして彼の傍にいさせてもらおうと思うの」

「バカね!この恋愛音痴!」

「へっ?!」

思いもかけなかった美月のこの言葉に驚いていると、彼女はクスリと笑った。

「まあ……いいんじゃない?私はあんたのこれからの三ヶ月間を応援するわ」

「ありがとう、美月。また報告するね!」

私はお気に入りのハイヒールを履くと、マンションの扉を開けた。

これからの三ヶ月間、私はとびきりの恋をする。

誰になんと言われても、この三ヶ月、私は好きな人と過ごすのだ。

そう。ひっそりと本当の恋をするために。
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