恋愛ノスタルジー
「インテリアコーディネーターは注文住宅で忙しく、建て売りモデルハウスのインテリアは私達が担当になる旨が昨日の部長会議で決まりました」

成瀬さんは噛まずにここまで言えた称賛を自分自身に送ったのか、小さくガッツポーズをした。

「えー……」

「仕方ないわよ。忙しい時はお互い助け合わないとね。それに二日もあればいけるでしょ」

「……分かりました」

「直帰していいからね。なんなら、イケメン社長の旦那とディナーでも行けば?」

ニヤニヤする成瀬さんを軽く睨むと、私は口を尖らせた。

「行きません。私、定時後は用事があるんです」

そう。今日から毎日私は凌央さんのお家にお手伝いに行くのだ。

昨日一生懸命練習した料理を食べてもらいたい。

選択や掃除だって。

「なに?!ニヤニヤしちゃって!不気味!」

可愛らしい顔をしかめて私を見た成瀬さんに、焦って私は咳払いをした。


****

午後三時。

圭吾さんの夢川貿易株式会社は港区で、峯岸グループの本社は千代田区にある。

電車なら三十分程で着く距離だ。

汐留駅から程近い25階建ての夢川貿易ビルは自社ビルで、地下の三階は全てパーキングとなっている。

15階に総合受け付けで、それ以下の階がテナント。

ああ、本当は凄く来たくなかった。

でも仕事だもの。それに立場上、来てるのに顔を見ずに帰るわけにもいかない。
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