恋愛ノスタルジー
*****


「あっははははっ!は、はは……」

テレビを観ながらワインを飲めば少しは気分もましになるかと思ったのに、胸は苦しいままだった。

……立花さんって綺麗だし、あの時のふたりの会話からして、きっと仕事の出来る女性なんだろうな。

それに比べて私には何の取り柄もない。

容姿がずば抜けて美しい訳でも気が利くわけでもなく、婚約者には嫌われていて好きな人にはキスする関係の人がいて。

このまま三ヶ月が経つと私は凌央さんと離れ、圭吾さんと愛のない結婚生活を始めなければならないのだ。

そう思った途端、ジワリジワリとテレビの画面が滲んだ。

そこからはアッという間で、たちまち涙が頬を伝って落ちる。

「荷物が玄関に、」

「……っ、おかえりなさい」

圭吾さんだ、どうしよう。

慌てて顔をそむけたものの、不自然な涙声に彼の言葉が止まった。

「……どうした」

「っ……な、んにも、ないです」

「……」

やだ、凄く気まずい。

「あ、あの夕飯は……きゃあっ!」

しつこく湧き出てくる涙を拭おうと上げた手が空のワイングラスに当たり、カシャンと割れた。

「ごめんなさい!」

「触るな」

短くそう言うと、圭吾さんはソファに荷物を置いた。
< 61 / 171 >

この作品をシェア

pagetop