恋愛ノスタルジー
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んー……。

なんか……ゴツゴツしてるものに囲まれてて……身体が動かない。

……いつもよりも温かいのはいいんだけど、寝返りがうてない。

……ちょっと待って……今何時なんだろう。

目覚ましは聞こえなかった。

……ありえない。

私が目覚ましよりも早く目覚めるなんてあり得ない。

でもアラームが聞こえなかった。スマホはどこなんだろう。

ゆっくり眼をあけるも、眠くて瞼が閉じそうになる。

あれ?……なんか触った感覚からして、人っぽくない?

そんな頼りない私の瞳に、自分じゃない身体の一部が写り込む。

……なんとまあ、逞しい腕なんだろう。

そう思った直後、一気に全身から血の気が引いて、私は目の前の太い腕を見つめたまま硬直した。

こ、これは紛れもなく男性の腕だ。

確か昨日は、ちゃんと家に帰った……。

よく見ると、黒と白のコントラストを活かした洗礼された空間は紛れもなく圭吾さんの部屋で、その部分に関しては直ぐに記憶がよみがえる。

そうよ。家に帰ったは、正解。

それからワインを飲んでたら圭吾さんが帰ってきて……まずい!

動かせるところは眼だけで、私は必死で真後ろの様子を窺った。

スースーという規則正しい寝息が聞こえる。
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