国王陛下の極上ティータイム
「それはこちらもですよ」

「お互い苦労しますね、ディオン殿」

「はい。そばで見守りたいとも思いますが」

「同感です」と頷いたブランは、「ディオン殿、これから少し時間がありますか?」と投げかける。

「ええ、ありますが」

「良かったら茶室でゆっくりしていきませんか?」

「…そうですね、二人の邪魔をしないように」

ブランもディオンも同じ考えだった。折角二人きりになれるこの機を大切にしてあげたかったのだ。

それから二人で茶室に向かいながら、ブランはクラリスを思う。

今頃クラリスは茶を入れて、ランティス様のもとへ向かったかもしれない。

どんな思いで、どんな顔で、向かっているのだろう。恋する部下に思いを馳せながら、ディオンと二人の恋の苦労話を語る。

身分の違いを超えて惹かれ合ったふたりの幸せを願って。





一足先に茶室に戻ったクラリスは、カモミールをポットに入れて湯が沸くのを待つ間、ずっと胸が高鳴ってならなかった。

ここ数日会えなかったため、ランティスに会いに行くのは久しぶりだ。

どんな表情をすればいいのか、どんな話をすればいいのか、そんなことを考えてしまって思考はまとまらず緊張だけが増していく。

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