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レオはアタシの手を握って泣いた。

「愛してるよ、キョウ。

ずっとキョウを愛してる。」

アタシの胸で泣いているレオの頭を抱え、その髪にキスをした。

「アタシも愛してる。」

それからしばらくしてアタシはまた入院した。

命の期限はいつまでかもうわからない状態だった。

タクミがやってきて、アタシの前に跪いた。

「キョウ…たくさん苦しめてゴメン。

今からでも償う。

キョウのために何でもするから許して欲しい。」

タクミに振り回され続けてたくさん傷ついて泣いたけど…今はもうアタシの中では全てが思い出に変わっていた。

「タクミ…すごく好きだと思ってたけど…
もう終わりにしたい。

アタシはレオのそばに最後まで居たい。」

「確かにキョウを支えてくれたのはレオだった。

でも…俺たちのことはそんなに簡単じゃ無かったハズだ。

キョウは俺に遠慮してるんだろ?」

タクミはいつまでもアタシがタクミだけを想っていると思ってた。

「タクミ…人の気持ちは変わってくんだよ。

アタシはレオの奥さんで…
タクミにはわからない夫婦の時間をレオと共有してきたの。

たしかに一時はタクミのことが好きだった。

全部捨てて…タクミと一緒になろうと思ったけど…
アタシたちはあの時、結局出来なかったじゃない?

アタシたちにはそういう縁が無かったの。

アタシの運命はレオと一緒に生きてく事だった。

最後までその運命を信じたいの。」

「でも…俺はまだ…キョウを…」

「お願い。それ以上は言わないで。

レオのためにも言わないで欲しい。」

そしてアタシはタクミに別れを告げる。

「タクミ…もう逢いに来ないで。」

タクミは納得してなかったけど…

その日からアタシはタクミに逢わなかった。

レオは無理してるんじゃないかと心配してたけど…

今アタシたちが会うことは毒でしかない気がした。

このままタクミに会わずにアタシは自分の世界を閉じる決意をした。










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