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「タクミ、どうしたの?

何かあった?」

喧嘩別れに近かったタクミが3年ぶりに連絡してくるなんて
余程の事がない限りあり得ないと思った。

オバさんがケガをしたとか
病気してるとか
嫌な事ばかりが頭の中に浮かんだ。

「俺さぁ、もうダメかもしれない。」

「え?どうして?」

「もう復帰出来ないかも…。」

タクミは一番ダメな自分をアタシに見せた。

きっと弱音を言って、弱い自分を晒け出せるのは
アタシしかいなかったんだと思った。

だけどアタシに出来ることなんてゆっくりタクミの話を聞くことだけだと思った。

「キョウ…逢いたいって言ったら怒る?」

「ううん。大丈夫だよ。」

アタシたちはどんなに喧嘩したって
何かあれば簡単に仲直り出来る。

どれだけ離れてたって
タクミはいつでも大切で
何かイベントのある日には
互いがどうしてるか考えるほどの相手だ。

親の次に近い存在で大切な人だ。

その夜、タクミは東京までアタシに逢いに来た。

アタシたちはハナエとレオに逢いそうもない場所で待ち合わせをした。

3年ぶりにあったタクミは
前よりもっと逞しくなって
男らしくなって
色っぽかった。

タクミの目に今のアタシはどう映ってるのだろうか…?

この時のアタシは仲直り出来て、
もしかしたらタクミは今度こそアタシを選んでくれるかもしれないと思っていた。


だけどアタシたちが離れていた3年はあまりにも長過ぎた。


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