エリート医師のイジワルな溺甘療法
先生の部屋のキッチンには、意外にも道具や調味料類が揃っている。
前にうどんを作ってくれたときも思ったけれど、あまり外食せずに自分で作るタイプなんだ。
カップ麺やレトルト食品は見当たらないから、即席物はあんまり買わないみたい。
冷蔵庫にはハムや卵とかの定番な食材が入ってるし、昨日は『任せろ』と言って、じゃがいもの皮剥きをスルスルサクサクやっていた。
私よりも上手に、向こう側が透けて見えそうなほどにうすーく剥いていて、女としての敗北感を味わってしまった。でこぼこしているじゃがいもなのに、皮の厚さにばらつきがなかったのだ。さすが敏腕整形外科医、手先がすごく器用だ。
先生はメスを握ることが多いから、刃物の扱いに慣れていて、どんな皮でも朝飯前に剥いてしまうんだろう。
りんごの皮剥き選手権なんかに出場したらよさそう。ベテラン主婦も和食のシェフでさえも寄せ付けず、誰よりも細く長く剥いて優勝するのだ。
そして大記録をうちたてて、ギネスにも載っちゃったりする。
それで『皮剥き王子は、イケメン整形外科医!?』『チャンピオンは、素敵なお医者さま!』なんて雑誌に載って一気に注目を浴びて、メディアに引っ張りだこになって……今以上にモテまくるのか。それは、嫌だな。