エリート医師のイジワルな溺甘療法


でもまあそんな大会には、お願いしても出ないか。チマチマとりんごの皮を剥く姿はイメージに合わないもの。

先生は白衣を翻して颯爽と歩く方が似合う。


今日のメニューは煮魚と茶碗蒸しと野菜たっぷり味噌汁。それにきゅうりの浅漬け。

これは、私よりもやる気に満ちていた麻友のアドバイスによって決めたもの。手作り弁当には入れにくいものにしよう!と。

らんらんと目を光らせた麻友が言うには、モテまくりな先生ならば、『差し入れですぅ~』って、女子からの手作り弁当攻撃を受けているはず。だから、キッチン直結ならではの料理を作るべし!ということだった。

『それは、具体的にどういうもの?』と訊くと、『たとえば汁がないとダメなものとか、腐っちゃうもの?』という答えが返ってきた。

ラーメン、うどん、お寿司とかがパッと浮かんだけれど、私が作りたいのは煮魚。

だってあのとき魚のことを話題にしたから、先生はお魚料理を期待してると思うのだ。

お刺身という案も出たけれど、それじゃ出来あいのものを買うのみになって、手料理の意味がない。

だから、最終的にこのメニューになった。

ポイントは茶碗蒸し。できたてほやほやを食べてもらいたいから、先生が帰ってきてから蒸した方がいいかな。

さすがに蒸し器はなかったので、大き目のお鍋で代用だ。

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