エリート医師のイジワルな溺甘療法
物音をたてず、ただいまもなく、いつの間に帰ってきたの?
口を開けてガン見している私を見て、ぷっと噴き出した。
「すごい驚きっぷりだな」
「だって……もうっ、いるならいるって言ってください~。静かに入って来るなんて、反則ですよ!」
「俺は普通に入って来たし、ただいまと言おうとしたら、君に話しかけられたんだぞ?」
「話しかけた??」
私が? いや、そんな覚えはないけれど……もしや、独りごとを拾われていたの? あれを話しかけたと思うなんて、先生って、ちょっと感覚が違う?
「ん? 俺よりも、魚を見なくていいのか? 焦げるぞ」
「ああっ、いけない! そうでした! あ、でもご心配なく。もう出来上がりですね」
「んー、そうだな。ああでももう少し煮詰めた方が俺の好みだな。それに、この部分にもっと汁をかけた方がいいぞ。茶色が薄い」
「え、え、どこですか?」
私には、照りが出てきた魚の色具合は、どうにも均一に見える。
どこか分からずまごまごしていると、私のスプーンを持つ手が、大きな手のひらの中にすっぽりと収まった。
「ほら、ここだ」
そのまま汁をすくって、染み込んでいない場所にかけていく。
もう片方の手は私のお腹にあって、しっかりホールドされている状態。