エリート医師のイジワルな溺甘療法
白地にハート模様のかわいい器だから、群青色が中心のシックな食器類の中では浮く存在だ。
おずおずと見つめる私に対し、先生はふわりと微笑む。
「別に迷惑じゃないぞ、置いておけばいい。そうだな、君専用の茶わんも置いたらどうだ? ここにあるのは大きいだろ。今度好きなのを持っておいで」
「……そんなこと言われたら、私の物がいっぱい増えちゃいますよ? お箸とかマグカップとか。食器棚を侵食していきますよ?」
「いいよ。必要だと思う物全部置けばいいぞ」
先生は物にはこだわりがない人だと多少分かっていたけれど、もっと私物を増やしていいなんて予想外の答え。
それは、この状態が一時的なものじゃなくて、この先もずっと続くということで……私は、先生の近くにいることを許されているみたい。
そっか、いいんだ。胸がほわほわとあたたかくなって、うれしくて、自然に目が潤む。
無理に訊こうとしないで、こうやって、ひとつひとつ不安の芽を取り除いていけばいいのかな。
焜炉ではお鍋で沸かした湯が沸騰している。
茶わん蒸しを入れようとしたら、先生の手に止められた。
そして、スッと私の真後ろに回り込んだ先生の声が、頭の上から降ってくる。