エリート医師のイジワルな溺甘療法


私だって、そこが硬いことは十分に分かっている。

それをどうにかしなくちゃいけないことも。

だけど、痛いものは痛い!


「いっ、うっ、あっ」


言葉にならない吐息混じりの声が、引き結んでいた唇から漏れ始めた。

先生の大きな手の中にすっぽり入った私の足は、ゆっくりゆっくり曲げ伸ばしをさせられている。

ギプスのお陰でずっと動かせなかった足首の関節は、ぎちぎちに固まっているうえに、血流不足のせいで腫れていてすごく痛いのだ。

ギプスを取った直後よりも腫れがひどくなっているのは、いったいどういうことだ。

先生が言うにはよくあることらしいが、こんなの勘弁してほしいと思う。


「せ、先生っ、もう無理です~っ」

「おい、たった五回だぞ。情けないことを言うな。もっと解さないと関節が固まったままだぞ。こういうのは、怖がっていたらダメなんだ」


いつも優しいのに、今日に限ってすごく厳しい。

それもこれも、私のリハビリが進んでいないからか。

療法師さんの言う通り、真面目にやっていたつもりなんだけどな。

リハビリルームに通わずにしてるけど、十分がんばってるつもりだ。

けれど痛みに弱すぎて、恐る恐るしてるのがいけないのかな。

だって、折った直後の痛みを思い出しちゃうんだもの、無理するとまた折れちゃいそうで、どうにも怖いのだ。

こんなにヘタレだとは、自分でも意外に思うが、どうしようもない。

足首は8度の曲げ伸ばしをされた後、ようやく解放された。


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