エリート医師のイジワルな溺甘療法


彼の恋人になってからは、アパートよりもマンションで過ごすことが多くなった。

なにも遮るものがない窓からは、青い空に白い雲が流れるのがよく見える。

リビングの窓を開けると、爽やかな風が吹き込んできた。


「気持ちいいーっ。こんな日はどこかに出かけたくなっちゃう。公園にピクニックとか、海もいいな」


ついこの間までは出かけるのが大変で、道のりを思うだけで憂鬱だったのに、こんなふうに思えるようになったのがすごくうれしい。

脚の具合はかなり良くて、松葉杖に頼らず歩くことが多くなってきた。

今やっているリビングのモップがけは、杖なし。

まあモップの枝が杖代わりになっちゃっているけれど、それを抜きにして考えれば、私のリハビリは急速に進んでいる。これも毎度マッサージをしてくれる、彼の手厚いケアのおかげだ。


キッチンの奥の方から、ドアを開け閉めする音が聞こえてくる。当直明けの彼がバスルームから出てきたみたいだ。

すぐにリビングに姿を見せないということは、多分冷蔵庫に常備してあるミネラルウォーターを飲んでいるんだろう。

湯上がりの体に風があたらないよう窓を閉めていると、腰にバスタオルを巻いただけの彼が、濡れた髪をゴシゴシ拭きながらキッチンから出てきた。


< 130 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop