エリート医師のイジワルな溺甘療法
彼の恋人になってからは、アパートよりもマンションで過ごすことが多くなった。
なにも遮るものがない窓からは、青い空に白い雲が流れるのがよく見える。
リビングの窓を開けると、爽やかな風が吹き込んできた。
「気持ちいいーっ。こんな日はどこかに出かけたくなっちゃう。公園にピクニックとか、海もいいな」
ついこの間までは出かけるのが大変で、道のりを思うだけで憂鬱だったのに、こんなふうに思えるようになったのがすごくうれしい。
脚の具合はかなり良くて、松葉杖に頼らず歩くことが多くなってきた。
今やっているリビングのモップがけは、杖なし。
まあモップの枝が杖代わりになっちゃっているけれど、それを抜きにして考えれば、私のリハビリは急速に進んでいる。これも毎度マッサージをしてくれる、彼の手厚いケアのおかげだ。
キッチンの奥の方から、ドアを開け閉めする音が聞こえてくる。当直明けの彼がバスルームから出てきたみたいだ。
すぐにリビングに姿を見せないということは、多分冷蔵庫に常備してあるミネラルウォーターを飲んでいるんだろう。
湯上がりの体に風があたらないよう窓を閉めていると、腰にバスタオルを巻いただけの彼が、濡れた髪をゴシゴシ拭きながらキッチンから出てきた。