エリート医師のイジワルな溺甘療法
ああダメだ。知りたいことが山のように積み上がっていくけれど、そのままズバリと訊くことができない。
恋人になったばかりなのに、結婚のことを話題にしたら重い女って思われかねないし。
ここはヘタレ女なりに焦らず上手くしないと、すれ違いや誤解が生まれて妙な溝が出来る。そして、破局!? そんなのは嫌! 今が幸せだから、このままでもいいかな……。
悶々としながらモップがけをしていると、彼の腕に行く手を阻まれた。
モップを奪われて、腕の中に入れられてしまい、なにも身に着けていない逞しい胸筋が目の前に迫る。
なにこれ、まさか、今から寝室へ……? 今日は、家具を見に行く約束じゃなかったっけ。
「まだ、掃除が終わってませんよ。それに……」
そっと胸を押しとどめて見上げると、予想に反して彼はむっすりしていた。
思いあたることはないけれど、私は、彼を怒らせたみたい?
「え、雄介さん、どうしたの?」
「穂乃花、俺に謝ることはないか?」
「へ?」
こちらが問いかけたのに質問を返され、きょとんとすると、彼はスッと眉根を寄せた。
「冷蔵庫に、そこのスーパーの肉が入ってたぞ。俺、言ったよな? もしかして、もう忘れた?」
声のトーンがガクンと落ちて、体の芯がじわっと熱くなる。