エリート医師のイジワルな溺甘療法


一躍スターというのは、こういう現象なんだろうか。

マホガニーに出勤してきた私は、ロッカールームで同僚たちに囲まれている。

ドアを開けて入った途端、まるで出待ちのファンがアイドルに群がるような感じで、歓声付きで出迎えられたのだった。これは多分私の人気ではなく、彼の人気なんだろう。

先輩ふたりと後輩がふたり、期待に満ちたキラキラ光る瞳で私を見つめている。

みんな、私が彼と腕を組んで歩いているのを見ていた子たちだ。

あの時、ニマーッと笑ったのは左から二番目にいる先輩で、ポカンとしていたのは右端の子だ。今日は麻友がいないから、止めてくれる子はだれもいない。


「お、おはよう」

「瀬川さんの彼氏、すっごいイケメンだったよね!」

「そうかな?」

「ふたりで家具を買いに来たってことは、もう結婚間近なんですか!?」

「はっ?」

「平日休みって、会社員じゃないんですか? 彼の仕事は?」

「ついこの間まで彼なしだったのに、あんな極上そうな男、どこでゲットしたの? 合コン? 見合い? もう結婚とか早くない?」

「えーっと」


矢継ぎ早の質問にタジタジして、ろくな返しができない。

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