エリート医師のイジワルな溺甘療法


それに入り口付近で捕まっているうえに、四人が壁のように並んでいるから、自分のロッカーまで行けやしない。


「なに、いったいどうしたの?」

「瀬川さんに彼氏できたってほんと?」

「おひとりさま期間長かったよね?」

「どんな人?」


騒ぎに気づいて、私の買い物デートを知らない子たちまで寄ってくる。

骨折したとき以上の反応で、いろいろ訊かれてうれしいような、哀しいような、複雑な気持ちになる。

でもみんな痛くて苦しい話よりも、しあわせな恋話の方が好きなんだ。仕方がない、私もそうだもの。


「待って。みんな、落ち着いて。そんなにいっぺんに訊かれても答えられない」


方々から飛んで来る声に待ったをかけ、順番に質問内容を確認すると「彼の職業」と「結婚」のことだけに絞られた。みんな知りたいことは同じなんだ。


「彼はお医者さまです」


まずは職業を言う。すると「ひゃーすごい!」だの「うそ、マジで!?」だの、「玉の輿じゃない!」もあり、ひとしきり沸き立つ。


「ね、まさか、骨折の主治医だったりする!?」

「そのとおりです。担当医さまです」


今度は、ワーッと声があがる。


「ちょっと、それって運命的じゃない?」

「骨折しなかったら、出会わなかったんだもんね」


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