エリート医師のイジワルな溺甘療法


リハビリの仕方の反省をしつつ帰宅したその夜は、同僚の坂崎麻友が来てくれた。

私が骨折して退院してからは『買い物できなくて、大変でしょ』と言って、定期的に食料などを買ってきてくれる。

今はキッチンに立っていて、料理の真っ最中だ。

私は治療費の領収書の整理をしながら、出来上がりを待つ。

いい匂いがしてきて、お腹の虫がぐーぐー鳴って、限界に近くなっていく。

今日は食材がほとんどなかったため、昼ごはんをまともに食べていなかったし、病院に行って体力を使ったから余計にお腹が空いている。

まだかなー?なんて思いながらちらりとキッチンの方を見ると、麻友がくるんと振り返った。


「じゃーん! 穂乃花、お、ま、た、せ! なんと今日はパエリアでーす!」


テーブルの上にフライパンごと乗せられたそれには、サフラン色に染まったご飯の上にアサリとエビがひしめくようにのっている。

それに、パプリカの赤と黄色が彩り鮮やかで、めちゃくちゃおいしそうだ。

おまけに生ハムやイクラのカナッペまでテーブルに並べられた。

この豪華さは、いったい何事か。


「見て。ワインも買ってきたの」


麻友は冷蔵庫から赤ワインを取り出してきて、ペロッと舌を出す。

まるでどこかのパーティー会場に迷いこんだみたい。なんだこれ、素晴らしすぎる!


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