エリート医師のイジワルな溺甘療法


ああもう、分からない。やっぱり、私にはムリだと思う。

……けれど私は、“彼にしあわせにしてほしい”じゃなく、“彼をしあわせにしたい”と思っているのは事実。

意思の強い彼の瞳の中に、たまに怯えの色が現れることがある。

それは多分、過去の哀しい経験がそうさせているんだ。

そんなところをやさしく包み込んで癒やして、不安から守ってあげたい。

そして私の愛情で満たして、とらわれていることから解き放ってあげたい。

こんなふうに考えられる人は、今までにいなかった。

そしてこの先も現れそうにない気がする。

こんな理由で結婚を申し込むのも、ありなのか……。


私にとって、彼との結婚生活は容易く想像できるもので、あり得ないことではない。

彼は家事を手伝ってくれる人だから、休日は一緒に料理をするのかな。

そしていつか彼に似た子が生まれて、一緒に公園を散歩するのだ。

彼が子どもを高い高いして、明るい光が降り注ぐ青空の下で、かわいい笑顔がはじける。

男の子なら一緒にスポーツしたり、女の子ならままごとに付き合ってあげたり。彼はやさしいけれど、時には厳しく接する、すごくいいパパになりそう。

そして私は、そんな家族の笑顔を守る強いママになりたい。


彼はどう思ってるのか。私との生活をイメージできるのかな。

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