エリート医師のイジワルな溺甘療法


「うん、素敵!」


今までひと気のない体育館みたいだったけれど、少しは部屋らしくなったじゃない。

置かれたばかりの群青色のソファは、まだよそ行きの顔をしているけれど、使用していくうちにこの部屋に馴染んでくるはずだ。

彼のリクエストだった、ひとりがけのソファもちゃんとある。あとはラグやフロアスタンドを置いて、小物を調えていけばソファ周りは完璧だ。


「そうだ、彼に報告しなくちゃ」


今は一時半だから、ちょうどお昼休みに入った頃だろうか。それともまだ仕事中かな。どんな返事がくるだろう。


『家具、入りましたー。いい感じですよ。どうですか?』


携帯で写真を撮って送ると、すぐに返信がきた。よかった、休憩真っ最中みたいだ。


『ありがとう。これでようやく人間の住処になったな』

『住処らしくなっただけですよ。今のところは五十点です。まだまだ足りないものがありますから』


DVDを見るテレビもないし、本を仕舞う書棚もない。今のままだと、座る場所ができただけだ。言うなれば、ホテルのロビーのよう。


『君の点数は厳しいな。でも“足りないものがある”というのは、同意見だな』


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