エリート医師のイジワルな溺甘療法
「ね、麻友っ、もしかして、とうとうなの!?」
テーブル越しに身を乗り出して訊くと、麻友は上目遣いに私を見てこくんとうなずいた。
「うん。先週、彼に……プロポーズ、されたの」
「うわあ、麻友、おめでとう!!」
抱き付いて喜びを表現したいけれど、自由に動けない体が恨めしい。
だから精いっぱいに拍手をおくる。
「ありがと! 結婚自体はまだまだ先なんだけどね、近々一緒に住むことになったの。だから、今度の休みはマンション探し」
「そっかあ、いいなー。麻友の彼はすごく素敵だもん。きっと幸せになれるね」
麻友の彼は、大手証券会社に勤めているエリート。
七年くらい付き合っているけれど、その間にいろんな波乱があって、麻友が泣いているのを何度も見てきた。
ここ一年くらいは、彼からのプロポーズを待っていたことも知っている。
だから、自分のことのようにうれしいのだ。
「じゃ、麻友乾杯しよう!」
グラスをカチンと合わせると、ルビー色の液体がゆらりと揺れる。
私が骨折して家にこもってうだうだしている間に、麻友は幸せの未来へ向かって一歩踏み出したのだ。
祝福の気持ちが少し収まってくると、再び取り残された感覚に襲われる。
結婚、か……私の運命の人には、いつ出会えるのかな。