エリート医師のイジワルな溺甘療法


てっきり同僚だと思っていたのに。

私を見下しているのは、白いシャツに黒のジャケット姿がまばゆい超イケメンな男性。

それはついこの間の夜、麻友との間でさんざん話題になった人……。


「え、あ……」


あの話の内容を思い出せば、自分の顔がどんどん熱くなっていくのが分かる。

指先が色っぽいとか、低い声に痺れるとか、抱かれたいとか。

酔いに任せて言ったことは全て素面じゃ赤面ものだ。

まさかマホガニーに来るなんて! こんなの不意打ちだ。


「安西先生!?」

「ああやっぱり瀬川さんだったか。制服を着てると雰囲気が違うな」


ふわりと笑って眩しそうに目を細めるから、胸がトクンと高鳴る。

白衣を着ていない先生はすごく新鮮で、一層素敵に見える。


「……いらっしゃいませ」

「立ち仕事みたいだが、脚は平気なのか?」


そう尋ねながら、少しの変化も見逃さないような真剣な瞳を向けてくる。

診察の時と同じ表情で、プライベートでも医者なんだな、なんて思う。


「少し辛いですけど、耐えられなくはないです。ちょくちょく椅子に座っていますし」

「それで……仕事は何時まで?」


なにかを考えているような先生の表情を見て、ふと思う。

もしかして先生は、今日あたり仕事を始めたかな?って、様子を見に来てくれたのかも。

なーんて、そんなことない。有り得ない。私ったら期待しすぎだ。これは、単なる、偶然。

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