エリート医師のイジワルな溺甘療法
頭の中に疑問符が舞い踊る。
聞いてはいたが、実際の物の無さを目の当たりにすると、かなり衝撃的だ。
「先生、ひどいです」
「ん? どこがひどい? 事前情報は与えたはずだぞ」
「だって、カーテンもないなんて、予想外ですっ」
「ああ、カーテンか。そうだったな……まあ覗かれるような階じゃないから、今のところ不便はないぞ」
「それは、そうかもしれないですけど」
もしかして、カーテンがないことに、今気づいたみたい。こうなると、無頓着さがスペシャル級で、かなり重症だ。
「もっと人間の住処らしい部屋にしないと、いけませんね……」
私が残念感たっぷりに言うと、先生はニッと笑った。
「寝室の方は、ちょっとは人間の住処らしくなったぞ。こっちだ」