エリート医師のイジワルな溺甘療法
寝室は、リビングとは雰囲気が違っていた。
グレーのクロス張りのシックな室内空間に、焦げ茶色のキングサイズのベッドがひとつ。
日曜に先生が購入したものが、朝一番に届いたばかりだそうで、まだベッドメイキングもされていない。置きたてホヤホヤ。
今朝まで使っていたであろう布団は、たたんで隅っこに置かれていた。
「これもついでに買ったぞ。あんまり衝動買いはしないんだが。弾力がすごいんだ。見るか?」
先生が指差したのは、ベッド脇に置いてある大きな紙袋。
きっと、先生は見てほしいのだ。買ったばかりのおもちゃを友達に見せる子供みたい。
なんだかかわいくて、くすっと笑いをもらした。
プライベートの先生は、いろんな面を見せてくれる。
「はい、ぜひ」
「立ったままじゃ疲れるだろ。ほら、座れ」
有無を訊かれずに腕を取られ、ぽすんとベッドに座らされた。
先生の見事な体さばきで、いつの間にか座らされた私はきょとんとするばかりだ。
「え、えっ」
「いいから座ってろ」
少し間を空けて座った先生の、しなやかな指の行方を見つめる。
爪は常に短く切りそろえられている、お医者さまの清潔で繊細な手。
それが大きな紙袋を取り、中から丸くふっくらとしたクッションを取り出した。