エリート医師のイジワルな溺甘療法
「このクッションが、四つあるんだ。どうだ?」
不意に低い声が耳をくすぐって、またまたドキッとする。
先生はスポンジを退けてベッドに手をついて、私に体を寄せていた。その微笑みが、ちょっとイジワルく見える。
なにを考えているんだろう……思わずのけぞった。
「な、なにがですか?」
「布団からベッドにグレードアップしたし、いいクッションもある。寝室は、人間の住処らしくなっているだろ?」
「あ、そう、人間の住処でしたね……リビングよりははるかにマシですけど、ふたつのアイテムだけじゃ、ダメです。寝室にもカーテンがないもの。イマイチじゃなくて、イマサンくらいです」
「うん、なかなか厳しいな……しかし、君は、カーテンに拘るんだな」
「カーテンは大事なんです。外からの視線を遮るだけじゃなくて、日光から家具やクロスを守るんですから、あった方がいいですよ。更に言えば、保温効果もありますから、節電になりますし、調光できますし、人間の生活には必要なものです」
この寝室には、カーテンだけじゃなくて、ラグもあった方がいい。
枕元の壁にはお洒落な絵を飾ったら素敵だ。
あと観葉植物も置いたら癒されそう。
いろいろイメージするだけでわくわくする。