エリート医師のイジワルな溺甘療法


先生と来たのはマホガニーではなく、マンションのある坂下町から車で四十分ほどのところにある、カーテンの専門店『カシュウ』だ。

種類はもちろん、取り扱っているメーカーも豊富で、多くの店員が窓装飾プランナーの資格を持っているというお店だ。

窓装飾プランナーとは、インテリアコーディネーターのカーテン版みたいなもの。ニーズや生活に合わせてカーテンの提案をしてくれる専門家なのだ。

家具は『マホガニー』ファブリック類は『カシュウ』と言われている。


「へえ、随分といろいろあるもんだな」

「はい。カーテンとひと口に言っても、サイズも役目も様々ですから。とても奥深いものなんですよ」

「君は、よくここに来るのか?」

「初めてです。ここは評判がいいので、前から来たいと思ってたんですよね。やっぱり、さすがの品ぞろえです」


広い店内に、色とりどりのカーテンの吊り見本が整然と並んでいる。

圧倒的な品数なのに、ブランドや値段など関係なくカラーごとに展示されているので、見やすくて選びやすい感じだ。

先生のお部屋はクロスがグレーだから、カーテンは黒系が落ち着くかな。焦げ茶色のベッドに合わせた茶系でもバランスがいいかも。クッションも薄茶色だったもの。


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