エリート医師のイジワルな溺甘療法
さっきまで私が主導権を握っていたはずなのに、結局先生のペースに巻き込まれてしまう。
安西雄介は、大人で、子どもで、ズルイオトコ。
こんな人に本気で恋をしてしまったら、大やけどをしそう。
私は、先生に恋してる? 憧れだけで、済ませられるの?
「お決まりになりましたか? よろしければ、吊り見本をお持ちしますよ」
店員さんに問いかけられたので、さしあたって三つの候補を示すと、一分もかからないうちに吊り見本を持ってきてくれた。
同じ色でも何種類も見本があるのに、さすがの素早さだ。こんなところも、カシュウの評価が高い理由のひとつだろう。
プランナーさんのアドバイスを聞き、迷いながらも一つに決める。レースのカーテンも合せて決めると、結構時間がかかってしまった。結局先生は「どれでもいいよ」と言って、選んでいない。
カーテンはオーダーメイドなので、仕上がりは十日後ということでお店を出る。
空はもう夕焼け色に染まっていて、先生は当然のように食事に誘ってくれた。
今日は老舗のうどん屋さんで、私も行ったことのある庶民的なところ。
ごちそうになったあと、先生は「お疲れさま」と労ってくれて、車の中で脚のマッサージをしてくれた。やさしい指使いが身も心もほっこりさせてくれる。
先生は私のことをどう思っているんだろう。
ただのギブアンドテイクの、便利な患者なのかな。
やさしいところを見せられると、私だけ?なんて期待してしまう。
大やけどをしたくないのに、引かれていくのを止められなくなる。
先生の気持ちを知りたい。