エリート医師のイジワルな溺甘療法
「ありがとうございます。すごくおいしいです」
「テーブルがなくて悪いな。食べにくいだろ、ごめん」
今日の先生は謝ってばかり。なんだか、可笑しい。
「先生、そこは、今さらですよ。もっと前に気づくべきです」
「そうだな。君のためにも、早く家具を揃えなくちゃいけないな」
私のため? それは、少しでも早く、私をインテリアコーディネートから開放するため? それとも単純に、来客をもてなす家具を揃えるため?
先生の言葉にはなにも反応できず、うどんを食べながら、さっき考えていたインテリアプランを話す。
先に食べ終わった先生は、そんな私をじっと見つめている。
いつもキリッとしている瞳が少し潤んで見えるのは、この蜂蜜色の空間と温かいうどんのせいだろうか。
なにも置かれていないだだっ広い部屋で、こんなふうに隅っこに座っている今は、すごく非日常的で特別な気がする。
なのに私ったら、気の利いた話題もなくて……。
「すみません、私、家具の話ばかりで」
「いや、君がインテリアのことばかり考えるように、俺は君のことを考えているから、お互いさまだな」
「え……私の、こと?」
先生が? 胸がとくんと、大きく脈打った。
先生にそんなことを言われるなんて、私は夢を見てるんだろうか。