【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
 
戸惑うあたしを見下ろして冷たく微笑むリョウくんの左手首には
シンプルな茶色のシュシュ。

本当は、由佳さんの事好きなくせに……。


本心とは裏腹な冷たい言葉。
手に入らないからこそ執着してしまう不器用な恋心。

まるであたしと一緒だ。

リョウくんがあたしなんて好きにならないってわかってるのに、どうしても彼に囚われてしまうバカなあたし。


でも、好きで好きで仕方ないの。
彼が誰を好きでも。
少しでもそばにいたい。

だから、退学になんてなってほしくないよ。

< 107 / 171 >

この作品をシェア

pagetop