【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
戸惑うあたしを見下ろして冷たく微笑むリョウくんの左手首には
シンプルな茶色のシュシュ。
本当は、由佳さんの事好きなくせに……。
本心とは裏腹な冷たい言葉。
手に入らないからこそ執着してしまう不器用な恋心。
まるであたしと一緒だ。
リョウくんがあたしなんて好きにならないってわかってるのに、どうしても彼に囚われてしまうバカなあたし。
でも、好きで好きで仕方ないの。
彼が誰を好きでも。
少しでもそばにいたい。
だから、退学になんてなってほしくないよ。