【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
 

露わになった上半身。

逞しい肩に濡れた黒い髪から水滴が流れて
なんていうか、すごく綺麗だと思った。

男の人の裸に綺麗なんて変だけど、それでも濡れた髪を鬱陶しそうにかきあげながらシャツを脱ぎ捨てた西野くんの身体は、目をそらせないくらいすごく綺麗だと思った。

「……何?」

不意に視線を上げた西野くんが、まばたきもせずにみとれてるあたしに気づいて軽く顎を上げて怪訝な顔をした。


「なっ、なんで脱いでるの!?」

おもいっきりみとれていたのを誤魔化すように、あたしは慌てて目をそらして彼に背を向けて叫んだ。

「なんでって、濡れたから着替えてるだけだけど?」

ああ、そうですよね。
そうですよね。

だけど、わざわざあたしの前でそんなに堂々と脱がなくたっていいじゃない!

「なんか飲む? 酒以外はコーヒーくらいしかないけど」

慌てるあたしになんかまったく興味がないのか、西野くんは平然とそう言った。

「あ、コーヒーでいい、です」

そう言いながら振り返ると、上半身裸のままキッチンへ歩いていく西野くん。

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