【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
「え!?」
驚いて西野くんを振り返ると
「仕事。夜バーテンダーやってる」
涼しい顔でコーヒーを飲みながらそう言った。
「だって、まだ未成年でしょ? 未成年がバーテンダーなんてやっていいの!?」
「別に、アルコールを提供するだけならなんの問題もない。建前上は」
軽く首を傾け、驚くあたしを見ながら彼は小さく笑った。
「でも、学校の先生が知ったらきっと……」
ただじゃ済まないよ
絶対問題になるはず
そう言おうとした時、玄関の方でカタリと音がした。
「……じゃあ、学校に余計な事言われないように口止め料でも払おうか?」
あたしが玄関の方に気を取られている間に目の前に黒い影が横切った。
気が付くと西野くんの綺麗な顔がすぐ目の前にあった。
「えっ? 西野くん?」
口止め料って?
ぽかんと、目を丸くしたあたしを見てクスクスと小さく笑う。
「リョウでいい」
「リ、リョウくん……?」
動転して上擦った声でそう言うと、ソファーの上に乱暴に押し倒された。