【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
 
「ちょっ! ちょっと、リョウくん!?」

目の前に引き締まった身体。
こんなにも至近距離で見上げるリョウくんの顔はやっぱりすごく魅力的で、体中が震えるほどドキドキした。
その逞しい腕であたしの自由を奪いながら、身動きの取れないあたしを見下ろして目を細めて静かに笑った。

「リ、リョウくん……?」

震える声で彼の名前を呼ぶと、ゾクっとするくらい綺麗な唇を歪めるようにして微笑みながら

ゆっくりと顔を近づけてきた。

さらりと乱れた黒い前髪から、真っ黒い切れ長の瞳がのぞく。
吐息がかかりそうなほど近づいたリョウくんの顔に、どうしていいのかわからないくらいドキドキして思わずぎゅっと目をつぶると……

「ちょっと、リョウ!!!」

リビングの扉が乱暴に開く音がして、女の子の高い悲鳴のような声が響いた。

驚いて目を開けると、いつの間にか綺麗な女の人が部屋の中に立っていた。


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