身代わりの姫
ベッドに下ろされて、また、キスをされる。
そのままそっと押し倒された。
着ていたジャケットとブラウスのボタンを外された。
下着の上から、胸を触るシリルに驚いて、唇を無理矢理離して言った。
「や、ダメなのよ……」
「分かってる。最後までは……しないから、少しだけ…今だけ」
そしてまた、唇を塞がれた。
抵抗は、しなかった。
養成所の女性は、ただ一つの例外を除き、体の関係はご法度。
お互い、分かっているのに。
それでも、触れたい思いと、受け入れたい思いと。
天国のようで、地獄だった。
雨音が弱くなった頃、シャツのボタンを閉じた。
名残惜しい気持ちが、2人を無言にさせた。
「戻ろう」
「ええ」
馬小屋から馬を出して、養成所まで戻った。