身代わりの姫
翌日早朝、昨日は遅かったが、最後の仕事と思うと、スッキリと起きた。
船着き場に行くとリラがまだ眠そうな顔をしていた。
仕分けの手伝いに行き、いつものように建物の中で仕事をした後、みんなが新鮮な魚と貝を焼いていた。
「サリ、色々手伝ってくれてありがとう」
1番年上でベテランの漁師のギルがみんなを代表するように言った。
「あまり荷物を増やしたら悪いし、俺達からの餞別として、新鮮な魚をみんなで食べようって決めたんだ。
ゆっくり食べて行け」
「まぁ、ありがとう。みんなにお世話になったのに、こんな………」
言葉に詰まる。
「ほらほら、しんみりしないで、食べよう」
エドの声に、オォー、と声が沸き立ち、みんなが明るく食べ始めた。
日に焼けた漁師達の、温かいもてなしに心から感謝した。
笑顔で美味しい魚介類をみんなで食べる。
こんな機会はもう二度とないのだろう。
全員が朝食には遅い食事をして、隣の街に届ける馬車を見送った。
「夜は、ちょっと寄らせてもらうよ」
ジョーが言ってエドも、俺もな、と笑って言った。
「ええ、ありがとう。リラ、また後でね」
じゃあね、と言い合ってまだ残っている人達にお礼を言って教会に戻ったのは昼前だった。