孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 お互いに今日一日の労いの言葉を交わして、グラスを合わせる。

 少しだけ口に含んだ白のワインは、すっきりとしていてフルーティだった。

 ワインのいろははわからないけれど、口当たりのいい飲み心地に喉を潤わせていると、すぐそばから感じた視線に目を向けた。

 グラスのステムを弄ぶ長い指。

 それを上へ辿ると、社長は切れ長の瞳を細めて私を見ていた。

 今日叔父の店で見た、あの眼光の強さと同じものに、心臓は当然に大きな鼓動を打つ。

 ワインのせいにしたい頬の火照りに、瞬きの回数が増えた。


「お前……ああいうのはもう、やめろ」

「え?」


 グラスをテーブルに置き、社長は瞳に真剣さを含めて真っ直ぐに私を貫く。


「酌取り。
 風俗店じゃないんだから、お前がするようなことじゃないだろう」


 まったく意図していなかった言葉に、唖然とする。

 しかもそれを否定するように、軽々しい言葉で私の居場所が取り上げられようとした。
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