孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 直属の上司にこんなふうにぺらぺらと自分の心情を吐くなんて、今までなかったことだ。

 それくらい私にとってあの見世物は大切なものなんだと、口にしながら今さら強く思い直す。


「あの時間は、毎日の空虚な部分を埋めてくれるんです。
 自分を認めてもらえる場所なんです」


 感情が高ぶっているのがわかる。

 顔が火照っているのも、ワインのせいだけじゃない。

 少し呼吸を乱す私の言い分を静かに聞いてくれる社長は、ゆったりと瞬いてから私の瞳を覗き込むように見つめてきた。


「俺は、お前を認めている。
 お前は機械じゃない。他に代替はない。俺にとって必要なパートナーだと思ってる。
 それだけじゃ、だめか?」


 真っ直ぐに心臓を射貫いてくる瞳に、息が止まった。
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