孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 明日の朝にここで社長と落ち合う時間を確認したあと、社長のボストンバッグを抱える仲居さんに案内される広い背中を見送る。

 ほんの少しだけ、寂しい気持ちが胸を過った気がした。


 ――『俺は、お前を認めている。
 お前は機械じゃない。他に代替はない。俺にとって必要なパートナーだと思ってる』


 社長が私に言ってくれた言葉が、思いのほか心の支えの大半を占めているのだと、気がついた。

 やっぱり私にとって、社長がいないこの場所は、自分の居るべきところではないんだと思った。

 こぼしそうになったため息を飲み込むと、私と同じく社長を見送った大和が気を取り直したように話しかけてきた。


「お前、なんで今年の正月も盆も帰って来なかった?」


 詰問するような大和の表情に、上げた視線を背ける。
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