孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「えっと、忙しくて……」


 そう言うだけがやっとの言い訳。

 大和は昔からそうだ。

 私と同い年のくせに、いつだって兄貴面してくる。

 今では私の義弟になっているのにもかかわらず、まるで保護者のような顔で私を叱るのだ。

 昔から、大和のそういうところだけは苦手だ……

 私たち姉妹と兄弟のように育ってきて、とても仲のいい友人のひとりではある。

 だけど、私が留学を決めたときくらいから、大和の私に対する態度が少しきつくなった。

 あのときも、大和はこんなふうに、不機嫌をあらわにしていた。


「本当かよ。
 待ってたんだぞ、お義父さんもお義母さんも、詩織も」


 取って付けたような言い訳は、大和の前では納得の材料にはなりえなかったらしい。 


「俺だって、お前を……」


 奥歯を噛みしめるように呟く大和を前に、また後ろめたさが押し寄せてくる。
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