孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 だけど、お辞儀からなおった詩織は、襖を開ける前に顔ににやりとした笑いを含めて私を見てきた。


「お姉ちゃん、次帰ってくるときも、社長さんと一緒に来なよ?」

「え? どうして?」

「今度は社長さんとしてじゃなく、“お姉ちゃんのお婿さんとして”、家族に紹介してね」

「は……っ!?」

「橘さんとなら、お姉ちゃんも玉の輿だね」

「な、なに言ってるの!?」

「いいなぁ、私もお姫様みたいな生活してみたい」


 唐突な期待に、一瞬だけそうなることを想像してしまった頭が、ぼっと顔の温度を急騰させる。

 「それでは失礼いたします」と言い逃げする詩織は、さっさと個室から出て行ってしまった。

 大和といい詩織といい、そういえば叔父もそんなことを言っていたなと頭を抱える。

 ……私が、社長と……!?

 ないない! ないでしょう、それは!

 あれだけ完璧な男子だ。

 もし仮に私がよかったとしても、社長からすれば私なんて門前払い案件だ。

 あのハイレベル男子に見合う女性なら、他にいくらでもいるはずだから。
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