孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 下で見た強さとは違う切れ長の瞳の奥の、経営の一切を担う長としての大きな責任感が、こちら側の非を嫌でも納得させる。

 それをダイレクトに受け取ってしまったから、まるで私が怒られているかのように気分が酷く落ち込んだ。


「か、鹿島くん……」

「え、あ、はい、あの――……」


 戸惑っている浅田室長に、頭の揺れを堪えて、要約した社長の指示を伝える。

 社長の雰囲気と相まって穏やかではない状況を悟ったらしい室長は、みるみるうちに顔を青ざめさせ、「かしこまりました!」と頭を下げて、そそくさと社長室を出て行ってしまった。


 音を立てないよう閉められた扉を見送ると、それこそ無駄に広い社長室に、たっぷり呆れを込めた溜め息が響いた。

< 16 / 337 >

この作品をシェア

pagetop