孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 けれど……


「ああ、そんなことか。住んでいるというか、今はホテルで寝泊まりしてる。まだ不動産見に行く暇がなくて。そうだ、向こうに帰ってから少し時間があるだろう。一緒に探してくれないか、住むところ」

「え、……え?」


 今さらな確認をとがめられるどころか、目が点になるような事実を聞かされ、挙句には秘書としてやるべき仕事ではないようなことをさらっと指示してくる社長に、ぱちぱちとまばたきを返すだけが精一杯だった。


「え、あの……社長は今、ホテル住まいなのですか?」

「ああ。ホテルも楽と言えば楽なんだけどな。掃除も洗濯もしてもらえるし、食事だって頼めば持って来てくれる。会社の近くのほら、スカイなんとかっていう……」

「まさか、スカイシャルトホテル、ですか?」

「ああ、そうそれ」


 なん……ということでしょう。

 大都市のど真ん中にある駅直結型の高級ホテルの名前を挙げられ、唖然と開いた口が塞げなくなった。

 
「いつからそこに……」

「いつからって、こっちに来てからずっとだけど」

「はい……!?」


 裏返った声に、お猪口を持った社長がいぶかしく眉をひそめて私を見た。
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