孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
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 しっかりとお食事を堪能させてもらった後、自分の分の食事代くらいは置いていこうとした私に、社長はいつかのような呆れた目を向けてきた。

 有無を言わさない眼力に押さえつけられ、バッグから取り出そうとした財布は結局日の目を見ることはなかった。

 しかも、ゆっくり休んでください、と別れのあいさつをしたはずなのに、私は社長が呼びつけたタクシーに無理矢理乗せられた。

 すかさず自分も一緒に乗り込み、旅館からほんの数百メートルしか離れていない、港町にある自宅まで送ってくれた。

 女ひとりに夜道を歩かせるわけがないと、社長はどこに行ったって女尊男卑の精神を貫き通したいのだ。
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