孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 久しぶりの実家は、相変わらず悠然としたたたずまいで、目の前に広がる漁港を見下ろしていた。

 ぎこちなく「ただいま」と小さく口にした私に、母は二年ぶりに帰った娘に対しても、昔となんら変わりない笑顔で出迎えてくれた。

 父は私の帰りを待ちくたびれてしまったらしく、地元の仲間と飲みに出掛けたらしかった。

 いつも通りの家族の姿がとてもあたたかくて、帰りづらいと思っていたのはやっぱり私の一方的な気持ちのせいなんだと、あらためて思わされた。

 勧められたお風呂にゆっくり浸かったあと、まだ子どもの頃の跡を残していた二階の自分の部屋に行く。

 昔と変わらないシーツをかけた布団がちゃんと用意してあって、家族って離れていてもやっぱりなんにも変わらないんだなと胸がほかほかとあたたかくなった。
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