孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 社長の意志の強い眼差しに、胸がぎゅうっと強く掴まれる。

 このままこの瞳に吸い込まれて、そこに居座ってしまいそう。

 
「社長なら……きっとそんなふうに言ってくださると思ってました。そんなふうに、言ってほしかった……」


 なにこれ。 

 どうしてこんなにドキドキしているの……。


「社長のそばに、私の居場所をください」


 なんだか、告白でもしてるみたい。


「当たり前だ」


 少しの拒否も見せない社長は、私の期待を裏切らない言葉をくれる。

 どうしてそんなに、私によくしてくれるんですか?

 ……ただの部下の私に。

 社長が日本に来てから、自分という輪郭が濃くなった気がする。

 今まで周りにぼんやりと埋もれて、黙々と作業をこなすだけだったのに。

 社長が私を特別なように扱うから、自分に価値という色を挿してもらっているようだ。

 社長のそばにいれば、自信が満ちてくる。

 私のための場所が、ちゃんとここにあるんだって教えてくれるから。
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