孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「お前は彼のこと、どう思ってた?」


 ­­­­­­­­独り占めしたいと言ったあとの社長の言葉には、明らかな嫉妬の色が濃くなっている。


「どう、と言われましても……」

「ああこれじゃあ回りくどいな、質問の仕方を変えよう」


 ひとりで自問自答して納得する社長は、一度外した視線をすぐに私に戻してくる。

 少しも逃がれさせようとはしない切れ長の瞳が、私の心までも捕まえに来た。


「恋人はいないと言ったな。好きなやつは? 気になっている男はいるか?」


 本当にストレートな質問だ。

 真っ直ぐに向けられるから、私も答えを濁せず素直に首を横に振った。


「そうか。それなら話は簡単だな」


 掬われたままだった手がぐっと引き寄せられ、私はいとも簡単に前のめりに倒れ込む。

 飛び込んだ温かな胸元は、ほのかな石けんの香りがして私の頭をくらくらと揺らめかせた。


「他の誰かを好きになる前に、俺に惚れて」
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