孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 お決まりにときめく胸が頬を熱くする。

 だけど、持ってきていたタブレットで不動産情報を探しているうちに、端にまで離れていた私は、いつのまにか少しだけ心の距離を詰めるように間が縮まっていた。


「えっ、ちょっと待ってください。だってここのお家賃……」

「快適に暮らせるに越したことはない。セキュリティは当然万全じゃないとダメだ。それにたった十二畳のリビングなんかじゃ息が詰まる」


 自宅の広さを告げた私が、唖然とするのも当然だ。

 社長が「ここがいい」と示した物件は、都会のど真ん中にある毎月の家賃が数十万円もする高級マンションだった。

 私のような庶民と感覚が違うことは、ホテル住まいを続けていると知った時点で気づいていたはずだった。

 詩織が言う“玉の輿”とは、こういうことを言うのだろうか。

 いいところのお家に住まい、贅沢な暮らしをして、しかもこんなにハイレベルイケメンにお姫様のようにもてなされる。

 私の手元のタブレットを覗き込む間近に見る整った顔立ちに向ける視線は、まだ見ぬ未来への夢を想像する。
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