孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 じっと見つめてしまうのは、社長があまりに見目麗しい容姿をしているからだ。

 胸の奥でこそばゆく湧き上がってくる感情に、否が応でも頬が火照りだす。

 ふっと上げられる切れ長の瞳の視線に捕まり、どきりとさせられたまま逃げそこなった。

 外の日差しをささやかに取り込む瞳の中に、自分の影を見つけた。

 吸い込まれてしまいそうな深さが、静かに私に迫ってくる。

 少しだけ小首を傾げた端整な顔は瞼を下ろしながら、鼻先が触れる距離でぴたりと停止した。


「……避けないのかよ。本当にするぞ」


 静かに呟いた社長の声にはっと我に返る。

 ばっと体を座席の端まで引き離し、湯気を立てて赤くなる顔をタブレットで隠した。
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