孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「す、すみませ……」

「俺は願ったり叶ったりだが」

「さ、左様で……」


 これでは本当に身が持ちそうにない。

 どうやって免疫を付ければいいのか、その方法すらわからない。

 それなのに……


「見えないだろうが」


 タブレットを持つ手は強引に引き寄せられ、狭い車内でさらに密着するように腰を引かれた。

 自分が持ってきている端末で検索すればいいのに、なんて意地の悪いことは言えず、されるがまままた耳元でささやかれた。


「このくらいで逃げてるようじゃ、この先身がもたないぞ」


 不動産情報を見たいだけだと思ったのに、重々承知していることを念を押すように口にされる。

 今後も、身がもたないようなことをするつもりのしたり顔が、タブレットではなく私を覗き込んでくる。

 覚悟はしていたはずだったのに、間近に迫る社長のあふれる魅力に目を回しそうになった。




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